矯正歯科での治療は、残念ながら、一般的には健康保険を適用することはできません。しかし、国で定められている先天性の疾患による噛み合わせの異常や、手術の必要な顎変形症の矯正治療には、健康保険を適用することができます。

国で定められている先天性の疾患には、口唇裂口蓋裂や、ダウン症候群など、20種類程度あります。先天性の疾患の中には、噛み合わせに異常をきたしてしまい、矯正治療の必要なものもあるのです。こうした先天性の疾患による矯正治療で、保険を適用するには、歯科矯正診断料算定の指定機関で治療を行う必要があります。

顎変形症は、上顎と下顎の大きさや形、位置のバランスが悪く、顔が変形してしまったり、噛み合わせに異常をきたしたりします。受け口や開咬の中には、顎変形症が原因の場合もあります。軽度のものは、矯正装置を使った治療で改善できるため、健康保険の適用を受けることはできません。しかし、上顎と下顎が大きくずれてしまっている場合には、外科手術を行って骨を切除した後で、矯正装置を使った矯正治療を行うことがあります。この場合には、手術から装置を使った矯正まで、全ての治療について、健康保険を適用することができます。ただし、顎口腔機能診断料算定の指定機関で、治療を行うことが条件となります。

こうした、健康保険の適用できる症状の治療でも、健康保険の適用が認められた医療機関以外で治療を行った場合には、健康保険を適用することができません。健康保険を適用して矯正治療を行うには、注意が必要となります。症状が、健康保険を適用できる症状か、通院している機関が、健康保険を適用できる機関なのか、まずは、歯科医や医師に聞いてみることをお奨めします。
矯正歯科での治療は、健康保険を適用できる治療は少ないですが、医療費控除の対象にはなります。矯正治療は、高額となることが少なくありません。矯正治療を受けた際には、確定申告での、医療費控除の申請をお奨めします。